犬・猫の抜け毛と毛づくろい|体からのサインの見分け方

ブラッシングするたび、ごっそり抜ける毛。 床に舞う毛玉を見て、ため息をつく。 この時期は仕方ない、毎年のことだから。
そう思って片づけているその抜け毛、実は体からのお便りかもしれません。 今日は、被毛と毛づくろいから読みとる、健康のサインの話を。
毛は、体の調子を映す鏡
ふわふわの被毛は、ただの飾りではありません。 体を守るバリアであり、体温を調節する大事な役割を持っています。
そして、毛やお肌の状態は、体の中の調子をよく映します。 栄養が足りているか、ホルモンのバランスはどうか、お肌は健康か。 そうしたことが、毛づやや毛の量、お肌の様子に表れることがあります。
人間でも、体調が悪いと肌や髪につやがなくなりますよね。 それと似たことが、あの子の被毛にも起こります。
だから、毛を「ただ抜ける厄介なもの」として片づけてしまうのは、もったいない。 そこに、健康のヒントが隠れていることがあるのです。
換毛期の抜け毛は、自然なこと
まず、安心してほしいこと。 季節の変わり目にごっそり毛が抜けるのは、多くの場合、自然な現象です。
これは換毛期と呼ばれ、季節に合わせて毛が生え替わる時期。 寒い季節に向けて密な冬毛になり、暖かい季節に向けて軽い夏毛になる。 このとき、古い毛が大量に抜けます。
だから、春や秋に抜け毛が増えるのは、体が季節に適応している証。 心配しすぎる必要はありません。
ただし、換毛期の抜け毛と、気をつけたい抜け方は、見分けたいところ。 全身からまんべんなく、季節に合わせて抜けるのは自然なこと。 でも、特定の場所だけ毛が薄くなる、左右対称に抜ける、地肌が見えるほど抜ける、というときは、ちょっと様子が違うかもしれません。
こんな抜け方は、ちょっと気にかけて
抜け毛そのものより、「いつもと違う抜け方」に目を向けたい。 気にかけたいサインを、いくつか挙げてみます。
部分的に、毛が薄くなっている。 体の一部だけ、毛が抜けて地肌が見えている。 これは、換毛期の全身的な抜け毛とは、ちょっと違う様子です。
左右対称に、同じように薄くなっている。 体の両側で、同じような場所が薄くなる。 こうした抜け方は、気にかけておきたいパターンのひとつです。
毛づやがなくなった、パサついてきた。 以前はつやつやだったのに、最近ごわごわ、ぱさぱさしている。 これも、体の中の何かを映していることがあります。
そして、お肌そのものの様子。 赤み、ふけ、かさつき、できもの、においの変化。 毛をかき分けたときに見えるお肌に、いつもと違うところがないか。
こうしたサインに気づいたら、自己判断せず、かかりつけの先生に相談してください。 毛とお肌の状態は、専門家が見ることで、はじめてわかることが多い領域です。
毛づくろいの「増えた・減った」を見る
抜け毛と並んで見ておきたいのが、毛づくろいの様子です。 特に猫は、起きている時間のかなりを毛づくろいに使うと言われています。
ここで注目したいのが、毛づくろいの量の変化です。
急に、毛づくろいが増えた。 同じところばかり、しつこくなめ続ける。 これは、お肌のかゆみや痛み、不快感のサインのことがあります。 あるいは、落ち着かない気持ちを紛らわせている可能性も。 なめすぎて、その部分の毛が薄くなることもあります。
逆に、毛づくろいが減った。 以前はきれいに手入れしていたのに、最近あまりしなくなった。 毛がぼさぼさ、べたついてきた。 これも、見逃したくない変化です。 体調がすぐれない、口や体に痛みがあって毛づくろいしづらい、年齢を重ねて体が動かしにくい—— そうした背景が隠れていることがあります。
毛づくろいの変化は、その子の「ふだん」を知っていてこそ気づけます。 ふだん、どのくらい手入れをする子なのか。 それを知っているから、「最近ちょっと違うな」がわかるのです。
ブラッシングは、最高の「健康チェックタイム」
ここで、とっておきの習慣を。 毎日のブラッシングは、ケアであると同時に、最高の健康チェックの時間になります。
ブラシをかけながら、自然と全身にふれることになります。 そのとき、いろいろなことに気づけます。
毛の量や抜け方。 お肌の様子、赤みやできもの。 体をさわったときの、しこりや腫れ。 さわると嫌がる場所はないか。 そして、体重の変化も、ふれていると手のひらが気づくことがあります。
ブラッシングは、毛をきれいにするだけでなく、体じゅうを点検する絶好の機会。 しかも、その子にとっては気持ちのいいスキンシップの時間でもあります。 ケアと、気づきと、ふれあい。 ひとつの習慣で、三ついいことがあるのです。
毛玉を防ぐ、毛づくろいで毛を飲み込みすぎるのを減らす、という実用面でも、ブラッシングは役立ちます。 何が合うブラシかは、その子の毛質によって違うので、いろいろ試してみてください。
記録すると、毛の変化の流れが見えてくる
毛やお肌の変化は、ゆっくり進むことが多いものです。 だから、一度見ただけではわかりにくい。 大事なのは、「前と比べてどうか」です。
抜け毛が増え始めたのはいつか。 毛づやが気になり出したのはいつか。 お肌の赤みに気づいたのはいつか。 毛づくろいが増えたのは、いつ頃からか。
こうしたことを、ゆるく記録しておくと、変化の流れが見えてきます。 「換毛期にしては、ちょっと長く抜け続けてるな」 「この赤み、二週間たっても引かないな」 記録があると、こうした気づきが生まれます。
そして、気になる写真を撮っておくのも有効です。 お肌の赤みや、毛の薄くなった部分は、言葉で説明しづらい。 写真があれば、変化を見比べられるし、病院でも先生に正確に伝えられます。
私たちが「もふ手帳」をつくったのも、そんな思いからでした。 気づいたことや、お肌や毛の写真をぽちっと残しておくだけで、その子の「ふだん」をそっと覚えていてくれて、被毛の「いつもと違う」にも気づく手助けをしてくれる。 受診のときには、その記録がそのまま先生への伝言になります。 記録はずっと無料で、肩の力を抜いて続けられます。
今日からできる、小さな一歩
今日、あの子をなでるとき、いつもより少しだけ毛とお肌に意識を向けてみてください。 毛づやはどうか、抜け方はどうか、お肌に変わったところはないか。 ブラシがあるなら、軽くかけながら全身にふれてみる。
それだけで、あなたはその子の被毛の「ふだん」を、ひとつ知ることになります。 その積み重ねが、いつか「あれ、この抜け方、いつもと違う」という気づきにつながります。
抜け毛は、片づける対象であると同時に、体からのお便りです。 毛づくろいは、その子の調子を映す鏡です。 言葉を持たないあの子の、毛とお肌からのサインを、見逃さないでいてあげてください。
毛やお肌で気になることがあったときは、自己判断せず、かかりつけの先生に相談してくださいね。
「もふ手帳」は、犬と猫の毎日を10秒で記録できるWebサービスです。体調・ごはん・体重の記録が「いつもと違う」への気づきになり、その子だけの一冊の本になっていきます。記録は無料・何頭でも登録できます。
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