犬の散歩は毎日の健康診断|歩き方・ペースの変化でわかる体調サイン

毎日歩いている、いつもの道。 電柱でにおいをかいで、角を曲がって、公園でひと休み。 代わり映えのない日課のようでいて、その散歩こそ、あの子の健康を映す鏡です。
今日は、歩き方やペースから気づく、体の調子の話を。
散歩は「運動」だけのものじゃない
散歩というと、まず思い浮かぶのは運動でしょう。 体を動かして、エネルギーを発散して、健康を保つ。 もちろん、それも大事な役割です。
でも、散歩にはもうひとつ、見過ごされがちな価値があります。 それは、その子の体の調子を、毎日チェックできる時間だということ。
家の中だと、寝ていることが多くて、動きの変化に気づきにくい。 でも散歩では、その子が実際に歩く、走る、においをかぐ。 体をフルに使う姿を、毎日まのあたりにできます。
だからこそ、歩き方やペースのちょっとした変化に、いちばん早く気づけるのが散歩なのです。 同じ道を、同じように歩く。 その「いつも」があるからこそ、「いつもと違う」が浮かび上がります。
歩き方に表れる、小さなサイン
散歩中、その子の歩き方を、少し意識して見てみてください。 体の不調は、歩く姿に表れやすいものです。
まず、足の運び。 どこかの足をかばっている、引きずっている。 一本の足を地面につけたがらない。 歩くリズムが、なんだかぎこちない。 こうした様子は、足や関節に何か起きているサインのことがあります。
立ち上がりや、段差。 散歩に出るとき、立ち上がるのに時間がかかる。 段差や階段を、ためらうようになった。 以前は軽々と乗っていた場所に、乗らなくなった。 これも、体のどこかがつらいのかもしれない、と見てあげたい。
背中や腰の様子。 背中を丸めて歩く、腰が落ちている。 歩く姿勢が、いつもと違う。 こうした変化も、見ておきたいポイントです。
歩き始めと、歩いた後。 最初はぎこちないけれど、歩くうちにほぐれてくる。 逆に、歩いているうちにだんだんつらそうになる。 この変化のしかたにも、ヒントがあります。
どれも、自己判断するものではありません。 気になる様子があれば、かかりつけの先生に相談してください。 ただ、こうしたサインに早く気づけるのは、毎日いっしょに歩いているあなたです。
ペースの変化は、いちばんわかりやすい
歩き方の細かいところに加えて、もっとつかみやすいのがペースです。
散歩のペースは、その子の元気のバロメーター。 いつもどおりの足取りか、それとも何か違うか。 ここに、体調や気持ちの変化が表れます。
歩くのが、遅くなった。 以前はぐいぐい行っていたのに、最近ゆっくりになった。 すぐ立ち止まる、座り込む。 歩きたがらない。 こうした変化は、体力の低下や、どこかの不調を映していることがあります。
歩く距離も。 以前と同じコースを、最後まで歩けなくなった。 途中で帰りたがる。 これも、見ておきたい変化です。
逆に、いつもより落ち着きがなく、興奮しているのも、何かのサインかもしれません。
そして大事なのは、こうしたペースの変化が、急なものか、ゆるやかなものか。 ある日とつぜん歩かなくなったのか、ここ数か月で少しずつ落ちてきたのか。 そのスピードによって、意味合いが変わってきます。
排泄も、散歩で確かめられる
散歩は、おしっこやうんちを確かめる時間でもあります。 外でする子なら、これは絶好の観察チャンスです。
おしっこの回数や、出方。 何度も足を上げるのに、少ししか出ない。 おしっこのときに、つらそうにする。 こうした様子は、見逃したくないサインです。
うんちの様子も。 かたさ、色、量。 ゆるい、固い、いつもと違う色。 散歩のときに、さっと目をやるだけで気づけます。
そして、これも前と比べてどうか、が大事。 ふだんの排泄を知っているから、変化に気づける。 散歩は、その「ふだん」を毎日アップデートできる時間なのです。
特に、おしっこが出にくそうなときは、様子を見すぎないほうがいい場合があります。 気になるときは、早めにかかりつけの先生に相談してください。
「歩きたがらない」を、わがままにしない
ここで、ひとつ伝えたいことがあります。
散歩を嫌がる、歩きたがらない。 これを「今日はやる気がないのかな」「わがままかな」で片づけてしまわないでほしいのです。
もちろん、その日の気分ということもあります。 暑い、寒い、雨で気が乗らない。 そういう日もあるでしょう。
でも、歩きたがらないのが続くとき、急に変わったときは、体のどこかがつらいサインかもしれません。 歩くと痛い、しんどい。 それを「歩きたくない」という形で表しているのかもしれない。
あの子は「足が痛い」とは言えません。 だから、行動で伝えてきます。 その声を、わがままと取り違えないであげたい。 いつもと違う「歩きたがらない」には、目を向けてあげてください。
その日の散歩を、ひとこと残しておく
散歩で気づいたことは、その場では覚えていても、すぐにあいまいになります。 「あれ、足をかばい始めたの、いつだっけ」 そうなりがちです。
だから、気づいたことを、ひとことだけ残しておく。 今日はよく歩いた、途中で座り込んだ、右足をかばっていた。 日付と、短い様子。 それだけで、後から流れを追えます。
散歩は毎日のことだから、記録すると変化がよく見えます。 「先月はもっと長く歩けてたな」 「ここ二週間、ペースが落ちてる」 点が並ぶと、線として変化が浮かび上がる。
そして、その記録は、病院でも役立ちます。 「いつから、どんなふうに歩き方が変わったか」を伝えられれば、先生の判断を助けます。 言葉を持たないあの子の代わりに、あなたの記録が、その子の歩みを語ってくれます。
私たちが「もふ手帳」をつくったのも、そんな思いからでした。 散歩の様子や気づいたことをぽちっと残しておくだけで、その子の「ふだん」をそっと覚えていてくれて、歩き方やペースの「いつもと違う」にも気づく手助けをしてくれる。 受診のときには、その記録がそのまま先生への伝言になります。 記録はずっと無料で、肩の力を抜いて続けられます。
今日からできる、小さな一歩
今日の散歩で、いつもより少しだけ、あの子の歩く姿を見てみてください。 足の運び、ペース、表情。 いつもどおりか、何か違うか。
そして気づいたことがあれば、帰ってからひとことメモ。 今は何でもないことでも、いつか変化に気づくための、大切な一点になります。
いつもの散歩道は、ただの日課ではありません。 あの子の体の調子を、毎日確かめられる、いちばん身近な健康診断の場です。 歩く姿に表れる小さなサインを、見逃さないでいてあげてください。
歩き方やペースで気になることがあったときは、自己判断せず、かかりつけの先生に相談してくださいね。
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