犬・猫の「耳の聞こえ方」の変化|難聴サインの見つけ方と日常ケア

「最近、名前を呼んでも来なくなった気がする」「掃除機の音を怖がらなくなった」——そんな小さな変化に、ふと首をかしげたことはありませんか。
それは単なる「気まぐれ」や「わがまま」ではなく、耳の聞こえ方が変わってきているサインかもしれません。犬も猫も、私たちと同じように聴覚は変化します。でも、声に出して「聞こえにくい」と伝えることができないぶん、飼い主のあなたが気づいてあげることが、その子の一番の助けになります。
この記事では、犬・猫の聴覚低下に気づくための観察ポイントと、日常でできるケアについてやさしくお伝えします。
犬・猫の聴覚は、私たちよりずっと鋭い
まず知っておきたいのは、犬や猫の聴力が人間とはまったく異なるということです。
犬は人間の約4倍、猫はなんと約5〜6倍の周波数帯域を聞き取れると言われています。遠くの足音や、私たちには聞こえない高音域の音も、あの子たちにはしっかり届いています。
だからこそ、その鋭い耳が少しでも衰えると、日常の行動にじわじわと変化が現れてきます。最初は「なんとなく反応が鈍くなった?」という程度の気づきでも、それを見逃さないことがとても大切です。
聴覚低下に気づく「7つのサイン」
以下のような変化が見られたら、耳の聞こえ方に変化が起きているかもしれません。ひとつだけでなく、複数が重なるほど注意が必要です。
- 名前を呼んでも振り向かない、または反応が遅い
- 足音や玄関のドアの音に気づかなくなった
- 掃除機や雷など、以前は怖がっていた音に反応しなくなった
- 寝ているときに近づいても起きない(触れると突然びっくりする)
- 声で呼びかけるより、視線や身振りに反応するようになった
- 吠え声や鳴き声のトーンや大きさが変わった
- 以前より甘えてくる、あるいは逆に孤立しがちになった
とくに「触れると急にびっくりする」という変化は、聴覚が落ちているサインとして気づきやすいポイントです。音で気配を感じ取れなくなると、突然触られることへの驚きが大きくなります。
原因はさまざま。老化だけじゃない
聴覚の低下は、シニア期の自然な老化によるものが多いですが、それだけではありません。
老化性難聴は、犬では7〜8歳以降、猫では10歳前後から少しずつ現れてくることがあります。徐々に進行するため、気づくのが遅れやすいのが特徴です。
それ以外にも、以下のような原因が考えられます。
- 耳の感染症・外耳炎の慢性化:耳の中の炎症が長引くと、聴力に影響することがあります
- 耳垢の詰まり:耳道が塞がれることで音が届きにくくなる場合があります
- 先天性の難聴:特定の犬種(ダルメシアン、ブルテリアなど)や白い被毛の猫に多いとされています
- 薬の副作用・中毒:一部の薬や化学物質が聴神経に影響することがあります
- 腫瘍・ポリープ:耳道や脳に関わる腫瘍が原因になることもあります
どの原因であっても、「気のせいかな」で終わらせず、変化に気づいたらかかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。
おうちでできる「聴覚チェック」の方法
難しい道具は必要ありません。日常のなかでできる、簡単な確認方法をご紹介します。
視線が届かない位置から名前を呼ぶ
その子が別の部屋にいるとき、または背中を向けているときに、普通の声量で名前を呼んでみましょう。振り向くか、耳が動くかを観察します。
手をたたく・鍵を鳴らす
その子から少し離れた場所で、手をたたいたり鍵をじゃらじゃら鳴らしたりしてみます。音に反応するかどうかを確認します。
寝ているときに近づく
そっと近づいて、音を立てずに観察します。足音や気配で起きるかどうかを見てみましょう。
ただし、これらはあくまでも「気になる変化に気づくための目安」です。正確な聴力検査は動物病院で行います。「もしかして?」と思ったら、自己判断せずに受診の相談をしてみてください。
難聴の子と暮らすための「コミュニケーションの工夫」
聴覚が低下していても、その子との暮らしはちゃんと続けられます。むしろ、コミュニケーションの方法を少し変えるだけで、その子の安心感がぐっと高まります。
ハンドサインを取り入れる
「おすわり」「まて」「おいで」などのコマンドを、声だけでなく手のサインと組み合わせて教えると、聴覚が落ちてきても理解できるようになります。若いうちから習慣にしておくと、いざというときに役立ちます。
近づくときは視界に入ってから
突然触れると驚かせてしまうので、まず視線を合わせてから、ゆっくりと近づくようにしましょう。床を軽く踏み鳴らして振動で気づかせる方法も有効です。
アイコンタクトを大切にする
声が届きにくくなっても、目を見て表情で伝えることはできます。笑顔で話しかけたり、視線でリードしたりする習慣をつけると、その子も安心して過ごせます。
リードを手放さない
屋外では、音で危険を察知できない分、思わぬ事故につながることがあります。散歩中はリードをしっかり持ち、フリーにする場所を慎重に選びましょう。
受診の目安——こんなときはすぐに相談を
以下のような変化が見られる場合は、早めに動物病院に相談することをおすすめします。
- 急に反応がなくなった(徐々にではなく急激な変化)
- 耳を頻繁に掻く、頭を振る、耳から異臭がする
- 耳の中が赤い、腫れている、分泌物が多い
- 歩き方がふらつく、頭が傾いている(斜頸)
- 食欲や元気も同時に落ちている
特に「急激な変化」や「耳以外の症状を伴う場合」は、早期の受診が大切です。
記録が「変化の気づき」を助けてくれる
聴覚の変化は、ゆっくりと進むことが多いため、「そういえば最近…」と振り返ったときに初めて気づくことが少なくありません。
そんなとき、日々の様子をメモしておくと、変化のタイミングや頻度が見えやすくなります。「もふ手帳」のような記録ツールに「今日は名前を呼んでも3回目でやっと振り向いた」などと書き残しておくと、受診のときに獣医師へ具体的に伝えられます。
今日からできる、小さな一歩
今日、視線が届かない場所から名前を呼んでみましょう。
いつもと同じように反応するかどうか、ただそれだけを確認してみてください。「なんとなく気になる」という感覚は、その子からのサインかもしれません。
そして、ハンドサインをひとつ教えてみましょう。
「おすわり」に手のひらを下に向けるジェスチャーを組み合わせるだけで大丈夫です。声と視覚の両方で伝える習慣は、聴覚が落ちてきたときの大きな支えになります。
その子の耳が少しずつ変化していくとしても、あなたとのつながりは変わりません。声が届きにくくなっても、目を見て、触れて、そばにいることで、その子にはちゃんと伝わっています。
「もふ手帳」は、犬と猫の毎日を10秒で記録できるWebサービスです。体調・ごはん・体重の記録が「いつもと違う」への気づきになり、その子だけの一冊の本になっていきます。記録は無料・何頭でも登録できます。
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