犬・猫の去勢・避妊手術|時期・術後ケア・記録しておきたいこと

はじめに|「手術、どうしよう」と悩んでいるあなたへ
犬や猫を迎えたとき、最初に大きな決断のひとつとしてやってくるのが、去勢・避妊手術のこと。
「受けさせたほうがいいのはわかってるけど、体への負担が心配」「いつ頃がいいの?」「術後、何に気をつければいい?」——そんな声は、はじめての飼い主さんにとって本当によく聞かれる悩みです。
この記事では、去勢・避妊手術の基本的な知識から、術後のケアで気をつけたいこと、そして「記録しておくと後で役立つこと」まで、できるだけ温かく、わかりやすくお伝えします。最終的な判断はかかりつけの獣医師さんと一緒に考えてほしいのですが、まずはこの記事が、あなたとあの子にとっての「考えるきっかけ」になれたら嬉しいです。
去勢・避妊手術って、どんな手術?
去勢手術はオスの子に行う手術で、精巣を取り除きます。避妊手術はメスの子に行い、卵巣や子宮を取り除く手術です(方法は病院によって異なります)。
どちらも全身麻酔をかけて行う手術で、「大がかりなことをするのが怖い」と感じる飼い主さんも少なくありません。でも、適切なタイミングと環境で行われれば、多くの子が術後数日で元気を取り戻していきます。
もちろん、手術にはリスクもゼロではありません。だからこそ、「なぜ受けさせるのか」「どんなメリット・デメリットがあるのか」を、あらかじめ獣医師さんとしっかり話し合っておくことが大切です。
手術を受けることで期待できること
去勢・避妊手術には、健康面でのメリットがいくつか知られています。
- メスの子の場合:子宮蓄膿症や乳腺腫瘍のリスクを下げる可能性があるといわれています。特に乳腺腫瘍は、初回発情前に手術を受けることでリスクが大きく変わるとされています(詳しくはかかりつけの獣医師へ)。
- オスの子の場合:精巣腫瘍の予防や、前立腺に関わるトラブルのリスクを下げる可能性があるとされています。
- 行動面:マーキングや攻撃性、発情期の鳴き声など、ホルモンに関連した行動が落ち着くことがあります(ただし、すべての子に当てはまるわけではありません)。
- 繁殖のコントロール:望まない妊娠を防ぎ、命の数を適切に管理することにもつながります。
一方で、肥満になりやすくなるという変化が起きやすいことも知られています。術後の食事管理が大切になりますので、この点も獣医師さんに相談しておくといいでしょう。
手術の時期の目安|「いつ受けさせればいい?」
よく聞かれるのが、「何ヶ月頃に受けさせればいいですか?」という質問です。
一般的には、初回発情前後が目安とされることが多く、犬では生後6ヶ月前後、猫では生後4〜6ヶ月頃が一つの目安としてよく挙げられます。ただしこれはあくまで目安であり、犬の場合は体の大きさ(小型・中型・大型)によって推奨時期が異なることもあります。
大切なのは、「一般的な目安」だけで判断するのではなく、その子の体の状態や成長具合を見ながら、かかりつけの獣医師さんと相談して決めること。「うちの子はいつ頃がいいですか?」と、次の受診のときに聞いてみてください。
また、成犬・成猫になってから手術を受けるケースも珍しくありません。年齢が上がると麻酔リスクが高まることもあるため、「もう大きくなってしまったから手遅れ」ではなく、早めに相談するのがおすすめです。
術前に準備しておきたいこと
手術が決まったら、事前にいくつかのことを準備しておくと安心です。
- 絶食・絶水の指示を守る:全身麻酔を使う手術では、前日夜から絶食・絶水が必要なことがほとんどです。病院の指示をしっかり確認しましょう。
- 当日の体調チェック:手術当日は、その子がいつも通りの様子かどうかを確認します。元気がない、食欲がない、下痢をしているなど気になることがあれば、病院に連絡を。
- エリザベスカラーの準備:術後に傷口を舐めないよう、エリザベスカラー(いわゆる「ラッパ型の首輪」)が必要になることが多いです。病院で貸し出してくれる場合もありますが、事前に確認を。
- 安静にできる場所の確保:帰宅後は静かに休める場所を用意してあげましょう。段差の少ない、落ち着ける空間が理想的です。
術後ケアのポイント|帰ってきたその日から
手術を終えて帰ってきたその子は、麻酔の影響でぼーっとしていたり、いつもより静かだったりすることがあります。これは多くの場合、麻酔が抜けていく過程で見られる自然な反応です。
ただし、以下のような様子が見られた場合は、すぐに病院へ連絡してください。
- 傷口から出血が続いている・傷が開いている
- ぐったりして起き上がれない状態が長く続く
- 嘔吐や下痢が止まらない
- 傷口を激しく舐めたり、かじったりしている
- 食欲がまったく戻らない(術後2日以上)
術後の安静期間は病院によって異なりますが、一般的には1〜2週間は激しい運動を控えるよう指示されることが多いです。散歩は短め・ゆっくりで、ジャンプや走り回ることは避けましょう。
また、傷口の抜糸(縫合糸を取り除く処置)が必要な場合は、指定された日に必ず受診を。最近は体内で溶ける糸を使う病院も増えていますが、確認しておくと安心です。
術後の食事と体重の変化に気をつけて
去勢・避妊手術後は、ホルモンバランスの変化によって代謝が変わり、太りやすくなることが知られています。「手術前と同じごはんの量をあげていたら、いつの間にかぽっちゃりしていた」というのはよくある話です。
術後は、避妊・去勢後の子向けに作られたフードへの切り替えを検討したり、量を少し見直したりすることが大切です。具体的な量や切り替えのタイミングは、担当の獣医師さんに相談してみてください。
体重の変化は、定期的に記録しておくと変化に気づきやすくなります。もふ手帳のような記録アプリを使って、術後の体重の推移を残しておくと、次の受診のときに「術後からこのくらい増えました」と伝えやすくなりますよ。
記録しておきたいこと|手術にまつわる情報を残す
去勢・避妊手術は、その子の一生に一度の大きな出来事です。だからこそ、記録として残しておくことをおすすめします。
残しておくと役立つ情報の例:
- 手術を受けた日付と病院名
- 手術の種類(卵巣のみ摘出か、卵巣・子宮ともに摘出か、など)
- 術後の経過(食欲が戻った日、傷が治った日、など)
- 体重の変化(術前・術後1ヶ月・3ヶ月など)
- 抜糸の日付
- 術後に気になったこと・獣医師に言われたこと
これらの情報は、引っ越しや転院のとき、トリマーさんやペットホテルに預けるとき、将来かかりつけが変わったときなど、思わぬ場面で役立ちます。「手術してますか?」と聞かれたとき、すぐに答えられると安心ですよね。
今日からできる、小さな一歩
もしまだ去勢・避妊手術を受けていない子がいるなら、次の受診のときに「うちの子はいつ頃が手術のタイミングですか?」と一言聞いてみることから始めてみてください。悩んでいることを話すだけで、ずいぶん気持ちが楽になることもあります。
すでに手術を終えた子がいるなら、手術日・術後の経過・体重の変化を記録に残しておくことを今日からでも始めてみましょう。あの子の大切な歴史のひとつとして、ずっと手元に残しておける情報になります。
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