シニア犬・シニア猫の睡眠の変化|眠りすぎ・眠れない、どっちが心配?

「最近、よく寝るようになったな」と思ったら
シニアになったその子が、以前よりずっと長くうとうとしている。そんな姿を見て、「歳をとったから仕方ない」と思いながらも、どこかで「これって大丈夫?」と気になっている飼い主さんは、きっと少なくないと思います。
実は、睡眠の変化はシニア期の体と心の状態を映す、とても素直なサインのひとつです。眠りすぎることも、反対に夜中に何度も目を覚ますことも、どちらも「その子の体が何かを伝えようとしている」と受け取ることができます。
この記事では、シニア犬・シニア猫に起こりやすい睡眠の変化を整理しながら、日々の観察で気をつけたいポイントと、受診を考えるタイミングについてお伝えします。
シニア期の犬・猫は、どのくらい眠るもの?
成犬は1日に12〜14時間、成猫は14〜16時間ほど眠るといわれています。それがシニア期に入ると、犬では16〜18時間、猫では20時間近く眠る子も珍しくありません。
人間でも年齢を重ねると体力が落ちて疲れやすくなるように、犬や猫も体の修復・維持に使うエネルギーが増え、自然と休息を多くとるようになります。これ自体はシニアとして自然な変化であることが多いです。
ただし、「よく眠っている」という事実だけでなく、眠り方の質・起きたときの様子・食欲や活動量との組み合わせを見ることが大切です。ぐっすり眠って、起きたときにすっきりした顔をしているなら、多くの場合は心配しすぎなくてよいでしょう。
気になる「眠りすぎ」のサイン
睡眠時間が増えること自体は自然なことですが、次のような変化が重なるときは、体の不調が隠れているかもしれません。
- 起こしても反応が鈍い、ぼんやりしている
- 食欲が落ちてきた、水を飲む量が変わった
- 起き上がるのに時間がかかる、よろける
- 遊びや散歩への興味がほとんどなくなった
- 体重が急に減ってきた
これらは甲状腺機能の低下(犬に多い)、貧血、心臓や腎臓の疾患、関節の痛みなど、さまざまな原因が考えられます。「歳だから」と見過ごしてしまいやすい変化ですが、かかりつけの獣医師に相談することで、早めに対処できることも多いです。
「夜中に起きる・鳴く・うろうろする」も見逃せない
反対に、夜間に眠れなくなる変化も、シニア期によく見られます。以前は朝まで静かに寝ていたのに、夜中に何度も起きてうろうろしたり、鳴いたりするようになった——そんなとき、飼い主さんはとても心配になりますよね。
夜間の落ち着きのなさには、いくつかの原因が考えられます。
- 認知機能の変化(犬の認知症、猫の認知機能不全):昼夜のリズムが乱れ、夜に活動的になることがあります。
- 痛みや不快感:関節炎や内臓の不調による痛みで、眠れない場合があります。
- 不安・ストレス:視力・聴力の低下によって不安が高まり、安心できる場所を探してうろうろすることも。
- トイレの問題:膀胱の機能が落ちて、夜間に何度もトイレに行きたくなることがあります。
夜鳴きや徘徊が続く場合は、「老化だから仕方ない」で終わらせず、一度獣医師に相談してみてください。原因によっては、生活環境の調整や医療的なサポートで改善できることがあります。
寝場所の変化にも注目して
睡眠の「時間」だけでなく、「どこで寝るか」の変化も大切な観察ポイントです。
たとえば、これまでリビングのみんながいる場所で寝ていたのに、急に押し入れの奥や薄暗い隅っこを好むようになった——これは体の不調や痛みを感じているとき、静かな場所に引きこもろうとするサインであることがあります。
逆に、これまで一人で寝ていた子が急にくっついて離れなくなったり、飼い主のそばを離れたがらなくなったりするのも、不安や体調の変化を示していることがあります。
また、床の硬さや温度が合わなくなって寝場所を変えるケースもあります。シニアになると体温調節が苦手になり、以前は平気だった床が冷たく感じられるようになることも。寝床の素材や温かさを見直してあげるだけで、ぐっすり眠れるようになる子もいます。
眠り方の「質」を観察するポイント
眠っているときの様子も、観察する価値があります。
- 呼吸が速い・荒い:眠っているのに呼吸数が多い場合は、心臓や呼吸器に負担がかかっているサインのことがあります。
- ピクピクと体が震える:浅い眠りのときに起こる夢を見ているような動きは正常ですが、全身がけいれんするような動きは要注意です。
- うなり声・鳴き声を上げる:痛みや不快感を感じている可能性があります。
- すぐ目が覚める・熟睡できていない様子:眠りが浅く、ちょっとした物音でも目を覚ます場合は、痛みや不安が影響していることも。
気になる様子があれば、スマートフォンで動画を撮っておくと、受診のときに獣医師にとても伝わりやすくなります。
受診を考えるタイミング
日々の変化を見ていると、「これは受診すべき?」と迷うことがあると思います。目安として、次のような状態が続く場合はかかりつけの獣医師に相談してみてください。
- 急に睡眠時間が増え、食欲や活動量も同時に落ちている
- 夜鳴き・徘徊が週に数回以上、2週間以上続いている
- 起き上がれない、または起き上がるのに明らかに苦労している
- 眠っているときに呼吸が速い・荒い状態が続く
- 全身がけいれんするような動きが見られる
「様子を見ていたら治った」ということもありますが、シニア期は変化のスピードが早いことも多いです。「気になるな」と思ったら、早めに相談する習慣をつけておくと安心です。
毎日の記録が、変化を「見える化」する
シニア期の変化は、じわじわと起こることが多いため、「いつから変わったのか」を振り返るのが難しいことがあります。「最近よく寝てるな」と気づいたとき、それが1週間前からなのか、1か月前からなのかで、獣医師の判断も変わってきます。
そのためにも、日々の様子を短くでもメモしておく習慣はとても役立ちます。「もふ手帳」のような記録アプリを使えば、睡眠の変化や食欲・活動量の変化を時系列で振り返ることができ、受診のときにも「こんな変化がありました」と具体的に伝えやすくなります。
毎日完璧に記録しなくても大丈夫。「今日はいつもより長く寝てたな」「夜中に一度起きた」という一言メモが、後になって大切な手がかりになることがあります。
今日からできる、小さな一歩
まずは今夜、その子が眠っている様子を少しだけ観察してみてください。呼吸の速さ、体の動き、どこで眠っているか——いつもと同じなら、それが「その子のふつう」として記憶に残ります。
そして、もし「最近よく眠るようになった気がする」「夜中に起きることが増えた」と感じているなら、今日からでいいので、気になったことを一言メモしてみましょう。変化を言葉にして残しておくことが、その子を守る最初の一歩になります。
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