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犬・猫のごはんと血糖値・膵臓の健康|食事で守る「見えない臓器」の話

公開日:2026/07/12 更新日:2026/07/12 ごはん
犬・猫のごはんと血糖値・膵臓の健康|食事で守る「見えない臓器」の話

「見えない臓器」が、毎日のごはんで動いている

犬や猫の体の中で、外から直接見ることも触れることもできない臓器のひとつが膵臓(すいぞう)です。お腹の奥深くに静かに存在しながら、その子が食事をするたびに働き続けています。

膵臓には大きく二つの役割があります。ひとつは食べたものを消化するための酵素をつくること。もうひとつは、血液中の糖分(血糖値)を調整するインスリンというホルモンを分泌することです。どちらも、その子が毎日元気に過ごすために欠かせない仕事です。

そして、この膵臓の働きに大きく影響するのが、毎日与えているごはんの内容や量なのです。「うちの子はいつも元気だから大丈夫」と思っていても、食事の習慣が少しずつ膵臓に負担をかけていることがあります。今日はそんな「見えない臓器」と食事の関係を、やさしく紐解いていきます。

血糖値ってなに?犬と猫で違う「糖の使い方」

ごはんを食べると、消化された糖分が血液の中に入り、血糖値が上がります。そこでインスリンが分泌されて糖を細胞に取り込み、エネルギーとして使われます。血糖値が高すぎても低すぎても、体にとってはよくない状態です。

犬と猫では、糖の代謝の仕方に少し違いがあります。

  • は雑食性で、炭水化物をある程度消化・利用できます。ただし糖質が多すぎると血糖値が急上昇しやすく、膵臓に負担がかかることがあります。
  • は本来の肉食動物で、炭水化物を処理する酵素が少なめです。そのため、糖質の多い食事が続くと血糖値のコントロールが難しくなりやすい傾向があります。

どちらの子にも共通しているのは、「血糖値の急激な上下を繰り返すことが、膵臓への負担につながる」という点です。

膵臓が疲れると、どんなことが起きる?

膵臓に関わるトラブルとして、飼い主さんがよく耳にするのが膵炎(すいえん)糖尿病です。

膵炎は、膵臓の消化酵素が何らかの原因で膵臓自身を傷つけてしまう炎症です。脂肪分の多い食事や急な食事の変化、過食などが引き金になることがあるといわれています。嘔吐、食欲不振、お腹を丸めるような姿勢、元気のなさなどが見られたときは、受診の目安のひとつになります。

糖尿病は、インスリンがうまく分泌されなかったり、効きにくくなったりすることで、血糖値が慢性的に高い状態が続く病気です。水をよく飲む、おしっこの量が増える、食欲があるのに体重が落ちる、といった変化が見られることがあります。

どちらも「食事だけが原因」というわけではありませんが、毎日の食事の内容が膵臓の健康に影響することは確かです。気になる変化があれば、早めにかかりつけの獣医師に相談してみてください。

脂肪と糖質、「多すぎ」に気をつけたいごはんの話

膵臓をいたわる食事を考えるうえで、特に気をつけたいのが脂肪分の多い食事です。

人間の食べ物、たとえば揚げ物・バター・チーズ・生クリームなどは、犬や猫にとって脂肪分が多すぎることがあります。「少しくらいなら」と思っても、その子の体の大きさからすると、人間が大量に食べたのと同じくらいの負担になることがあるのです。

また、糖質の多いおやつや食材も注意が必要です。甘い果物、白いごはんやパン、甘みのあるスナック類などは、血糖値を急激に上げやすいものが多くあります。特に猫は糖質の処理が得意ではないため、フードの成分表示を確認する習慣をつけておくと安心です。

一方で、「脂肪ゼロ・糖質ゼロがいい」というわけでもありません。適度な脂肪はエネルギーや皮膚・被毛の健康に必要ですし、炭水化物も犬にとっては大切なエネルギー源のひとつです。「多すぎない、偏りすぎない」というバランスが大切です。

食事の「回数」と「量」も、膵臓に関係している

ごはんの内容だけでなく、与え方も膵臓の健康に影響します。

一日に一度、大量のごはんをまとめて与えると、消化酵素やインスリンが一気に大量に分泌されることになります。これが膵臓への負担につながることがあるといわれています。

一般的に、成犬・成猫であれば一日2回に分けて与えることが多く、子犬・子猫やシニアの子は3回以上に分けることもあります。その子の年齢・体重・健康状態に合わせた回数と量は、かかりつけの獣医師に相談しながら決めていくのが一番です。

また、肥満も膵臓や血糖値のコントロールに影響します。体重が増えすぎると、インスリンが効きにくくなりやすいといわれています。「ちょっとぽっちゃりしてきたかな」と感じたら、ごはんの量を見直すサインかもしれません。

「市販のフード」は信頼できる?成分表示の読み方

総合栄養食として販売されているペットフードは、犬や猫の栄養基準を満たすように設計されています。基本的には、そのフードと水だけで必要な栄養が摂れるようになっています。

ただ、フードを選ぶときにひとつ意識してほしいのが成分表示の確認です。

  • 粗脂肪(脂肪分):高すぎるものは膵臓に負担をかけやすい場合があります
  • 炭水化物(糖質):特に猫の場合、割合が高すぎないか確認を
  • 原材料の順番:最初に書かれているものほど多く含まれています

「このフードはうちの子に合っているかな?」と迷ったときは、フードのパッケージを持参して獣医師に相談するのもよい方法です。

日々の記録が、膵臓の変化に気づく近道

膵臓や血糖値のトラブルは、初期のうちは目に見えにくいことが多いです。だからこそ、毎日のちょっとした変化に気づく観察力が大切になります。

  • ごはんの食べ方に変化はないか
  • 水を飲む量が増えていないか
  • おしっこの量や回数が変わっていないか
  • 体重が増えたり減ったりしていないか
  • 嘔吐や元気のなさが続いていないか

こうした変化を日々メモしておくと、「いつから」「どのくらい」という情報が受診のときにとても役立ちます。もふ手帳のような記録ツールを使って、食事の内容や体調の変化をこまめに残しておくと、変化のパターンが見えやすくなります。

今日からできる、小さな一歩

膵臓や血糖値の健康は、毎日のごはんの積み重ねで守ることができます。今日から始められることを、ひとつだけ試してみてください。

① 今与えているフードの成分表示を一度確認してみる

脂肪分や炭水化物の量、原材料の順番を見てみましょう。「これって多いのかな?」と思ったら、次の受診のときに獣医師に聞いてみるきっかけになります。

② 人間の食べ物をおすそわけする習慣があれば、少し立ち止まってみる

揚げ物・バター・甘いもの・加工食品など、脂肪や糖質が多いものは、その子の膵臓に思いのほか負担をかけていることがあります。「ちょっとだけ」が積み重なることを、ぜひ意識してみてください。

その子が毎日元気にごはんを食べてくれる。それだけで、膵臓はちゃんと仕事をしてくれているサインです。見えない臓器に、今日もそっと感謝しながら、ごはんの時間を大切にしてあげてください。

「もふ手帳」は、犬と猫の毎日を10秒で記録できるWebサービスです。体調・ごはん・体重の記録が「いつもと違う」への気づきになり、その子だけの一冊の本になっていきます。記録は無料・何頭でも登録できます。

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この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、獣医学的な診断に代わるものではありません。愛犬・愛猫に気になる症状があるときは、かかりつけの動物病院にご相談ください。