ペットの防災対策|いざというとき連れて逃げるための備え

ニュースで災害の映像を見るたび、ふと胸をよぎる。 もし今、地震が来たら。 この子を連れて、ちゃんと逃げられるだろうか。
考えたくはないけれど、考えておきたいこと。 今日は、いざというときに大切な家族を守るための、備えの話をします。
「うちは大丈夫」が、いちばん危ない
災害の備えは、誰もが「大事だ」とわかっています。 でも、実際に手をつけている人は、そう多くありません。
理由は、はっきりしています。 今、目の前にあの子が元気でいるから。 平和な日常の中では、「もしも」が遠い話に感じられる。 「いつかやろう」と思っているうちに、月日が過ぎていきます。
でも、災害は、こちらの準備を待ってはくれません。 ある日とつぜん、何の前ぶれもなくやってくる。 そのとき、備えのあるなしが、あの子の運命を分けることがあります。
備えるのは、不安をあおるためではありません。 むしろ逆で、「もしものときは大丈夫」と思えるから、安心して日々を過ごせる。 今日のこの記事を、その安心への第一歩にしてもらえたらと思います。
まず知っておきたい「いっしょに逃げる」という考え方
災害が起きたとき、ペットをどうするか。 ここで、ぜひ知っておいてほしい考え方があります。
それは、原則として「いっしょに避難する」ということ。 ペットを家に置いて、人だけ逃げる。 これは、その子の命に関わるだけでなく、後で助けに戻ろうとして、飼い主さん自身が危険にさらされることもあります。
国も、ペットといっしょに避難すること自体は推奨しています。 ただし、これは「避難所の中で人と同じ空間で過ごせる」という意味とは限りません。 受け入れの形は、避難所によってさまざまです。 だからこそ、事前の備えと、地域のことを知っておくことが大事になります。
いっしょに逃げる。 そのために、何を準備しておけばいいのか。 ここから、具体的に見ていきます。
いちばん大事な備えは「いっしょに動ける」こと
避難グッズをそろえる前に、もっと大事な備えがあります。 それは、いざというときに、その子といっしょに動けること。
たとえば、キャリーやケージに入れること。 ふだんからキャリーに慣れていない子は、いざというとき、なかなか入ってくれません。 怖がって逃げ回り、貴重な時間を失うこともあります。 避難所では、キャリーやケージの中で過ごすことが求められる場面も多い。 だから、ふだんからキャリーを「安心できる場所」にしておくことが、何よりの備えになります。
呼んだら来てくれること。 パニックの中でも、名前を呼べば寄ってくる。 これができるだけで、はぐれるリスクがぐっと減ります。
人や、ほかの動物がいる環境に、ある程度慣れていること。 避難所には、たくさんの人や、ほかのペットがいます。 極度に怖がる子には、大きなストレスになります。
これらは、グッズのように買ってそろえられるものではありません。 日々の暮らしの中で、少しずつ慣らしていくしかない。 だからこそ、「いつか」ではなく、今日から始める価値があります。
備えておきたい「もしもの持ち出し品」
いっしょに動ける準備と並んで、持ち出し品の用意も大切です。 あの子のための防災バッグを、ひとつ作っておく。 中身を、思いつくままに挙げてみます。
まず、フードと水。 できれば数日分。 食べ慣れたものを用意しておくと、ストレスの多い避難生活でも食べてくれます。 水も、ふだん飲んでいるものがあると安心です。
そして、お薬。 持病があってお薬を飲んでいる子は、これが命綱です。 数日分を予備として備えておきたい。 何の薬を、どれだけ飲んでいるか、メモも一緒に。
トイレ用品。 ペットシーツ、猫砂、袋、消臭。 避難先で清潔を保つことは、その子のためにも、まわりのためにも大事です。
食器、リード、予備の首輪。 そして、ふだん使っているタオルや毛布。 慣れたにおいのするものが一つあるだけで、その子の心はずいぶん落ち着きます。
これらをまとめて、すぐ持ち出せる場所に置いておく。 人間の防災バッグと並べておくと、忘れずにすみます。
はぐれてしまったとき、再会の鍵になるもの
災害では、どんなに気をつけていても、あの子とはぐれてしまうことがあります。 そのとき、再会できるかどうかを左右するのが、その子が「誰の子か」を証明できるものです。
まず、迷子札やマイクロチップ。 首輪に連絡先のついた迷子札があれば、保護してくれた人がすぐ連絡できます。 マイクロチップは、首輪が外れても身元がわかる助けになります。
そして、これは見落とされがちですが、その子の写真です。 迷子のポスターを作るとき、行政や保護施設に届けるとき、写真が必要になります。 あなたといっしょに写った写真があれば、「この子は私の家族です」という証明にもなります。
さらに、その子の特徴をまとめた情報。 体重、毛色、年齢、性別、避妊去勢の有無、持病。 こうした情報がそろっていると、保護されたときの照合がスムーズになります。
ふだんから、その子の写真を残し、基本情報をまとめておく。 それが、もしものときの再会を、ぐっと手繰り寄せてくれます。
「その子の情報」が、避難先で力になる
避難生活が始まると、その子の情報が、思わぬ場面で必要になります。
たとえば、慣れない避難先で体調を崩したとき。 初めての病院にかかることになるかもしれません。 そのとき、ふだんの体重、持病、飲んでいる薬がわかれば、初めての先生にも必要なことがすぐ伝わります。
たとえば、お薬が切れて、別の病院で処方してもらうとき。 何の薬を、どれだけ飲んでいたか。 これがわかると、対応がスムーズになります。
たとえば、避難所でほかの人にあずける必要が出たとき。 ごはんの量、注意点、性格。 それを伝えられれば、あずける側も、あずかる側も安心です。
混乱した状況で、記憶だけを頼りにするのは、とても心もとない。 でも、その子の情報がひとまとめになっていれば、それを見せるだけで伝わります。 平常時に整えておいた情報が、非常時に、あなたとあの子を支えてくれます。
地域のことを、今のうちに調べておく
最後に、もうひとつ。 お住まいの地域が、ペットの避難についてどうなっているかを、知っておきたいところです。
近くの避難所は、ペットを受け入れてくれるのか。 受け入れるとして、どんな形なのか。 ペットといっしょに入れる場所はあるのか。
これは、地域によって対応が大きく違います。 だからこそ、いざというときではなく、今のうちに調べておく。 自治体のサイトを見たり、防災情報を確認したりするだけで、いざというときの動きが変わります。
知っているだけで、慌てずにすむ。 備えとは、結局のところ、「知っていること」と「用意してあること」の積み重ねです。
今日からできる、小さな一歩
今日、ひとつだけ。 あの子の写真を一枚、撮ってみてください。 あなたといっしょに写った、はっきり顔がわかる一枚を。 それが、もしものときの再会の、大きな助けになります。
そしてもし余裕があれば、その子の基本情報を、どこかにまとめておく。 体重、持病、飲んでいる薬、かかりつけの病院。 それが、避難先で必ず力になります。
私たちが「もふ手帳」をつくったのも、そんな思いからでした。 体重も、持病も、お薬も、写真も、その子の大事な情報をひとまとめにしておける。 いざというとき、その一冊を見せれば、必要なことが伝わります。 記録はずっと無料で、肩の力を抜いて続けられます。
道具に頼らなくても、紙でもスマホのメモでもいい。 大事なのは、平和な今のうちに、備えておくこと。 その小さな準備が、いざというとき、いちばん大切な家族を守ってくれます。
そして願わくば、この備えが一度も使われないまま、おだやかな日々が続きますように。 使わずにすむのが、いちばんいい。 それでも、用意しておく。 それが、あの子を守るということだと思います。
ペットの防災について、より詳しいことは、お住まいの自治体や、環境省の出している情報も参考になります。 地域の最新の情報を、ぜひ一度確認してみてください。
「もふ手帳」は、犬と猫の毎日を10秒で記録できるWebサービスです。体調・ごはん・体重の記録が「いつもと違う」への気づきになり、その子だけの一冊の本になっていきます。記録は無料・何頭でも登録できます。
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