新しい子を迎える前に、知っておきたいこと

もう一匹、家族に迎えたい。 あの子にも、きっと仲間ができてうれしいはず。 そう思って迎えたのに、先住の子の元気がなくなってしまった。
そんな話は、実は珍しくありません。 今日は、新入りを迎えるときに、両方の子をどう守るか、という話を。
「きっと喜ぶはず」は、人間の都合かもしれない
新しい子を迎えるとき、私たちはつい想像します。 仲よく遊んで、寄り添って眠る、ほほえましい光景を。
でも、ちょっと立ち止まって考えたい。 それは、先住の子も望んでいることなのでしょうか。
これまで、家の中はその子のテリトリーでした。 飼い主さんの愛情も、ごはんの器も、お気に入りの場所も、全部その子のものだった。 そこへ突然、見知らぬ子がやってくる。
先住の子にとって、それは大きな変化です。 うれしいどころか、不安や戸惑い、ときにはストレスを感じることもあります。 「仲間ができて喜ぶはず」というのは、もしかしたら、人間側の願いなのかもしれません。
だから、新入りを迎えるときに、いちばん心を配りたいのは、実は先住の子のほうです。 これまでの暮らしを守られていた子の、その「ふだん」が崩れないように。 そこを大切にすることが、うまくいく第一歩になります。
先住の子の「ふだん」が、変化に気づく物差し
新しい子を迎えると、家の中の空気が変わります。 そのとき、先住の子に、いろいろな変化が出ることがあります。
食欲が落ちる。 元気がなくなる。 隠れて出てこなくなる。 トイレの失敗が増える。 攻撃的になる、逆にふさぎ込む。
こうした変化は、その子なりに、新しい環境に戸惑っているサインかもしれません。 これは、わがままではありません。 急に変わった暮らしに、心と体がついていこうとしている表れです。
そして、こうした変化に気づくには、その子の「ふだん」を知っていることが欠かせません。 ふだん、どのくらい食べるのか。 ふだん、どんな様子なのか。 それを知っているから、「新入りが来てから、食欲が落ちた」に気づける。
だから、新しい子を迎える前に、先住の子のふだんを、あらためて見ておきたい。 体重、食欲、元気、トイレ。 その基準があるからこそ、迎えたあとの変化を、正確にとらえられます。
新しい子にも、戸惑いの時間がある
もちろん、変化に直面しているのは、新入りも同じです。 むしろ、新しい子のほうが、環境の変化は大きい。
それまでいた場所から離れ、知らない家、知らない人、知らない先輩のもとへ。 すべてが初めての中で、緊張して当然です。
迎えたばかりの時期は、その子もていねいに見てあげたい。 食べているか、飲んでいるか、出ているか。 新しい環境で、体調を崩していないか。 緊張で食欲が落ちることもあるので、特に最初は気にかけたい。
そして、新しい子の「ふだん」は、これから一緒に作っていくものです。 来た日の体重、好きなもの、性格。 最初の記録を残しておくと、その子のふだんが、ゼロから形づくられていきます。
つまり、新入りを迎えるとき、私たちは二匹分の「ふだん」を見守ることになります。 すでにある先住の子のふだんと、これから作る新入りのふだん。 その両方を、大切にしてあげたいのです。
あせらず、少しずつ。対面の進め方
二匹の関係づくりは、あせらないことがいちばんのコツです。 いきなり対面させて、仲よくなることを期待しない。
最初は、お互いの存在に、少しずつ慣れてもらう。 姿は見えなくても、においや気配で「誰かいるな」と感じる時間をつくる。 そうして、ゆっくり距離を縮めていく。
具体的にどう進めるかは、その子の性格や、犬か猫か、年齢などによっても変わります。 だから、ここで「こうすれば必ず大丈夫」とは言いません。 むしろ大事なのは、それぞれの子の様子をよく見ながら、その子たちのペースに合わせること。
うまくいかないとき、強い緊張や争いが続くときは、無理を重ねないでください。 それぞれが安心できる場所を分ける、ごはんの場所を分ける、といった工夫が必要なこともあります。 迎え方や関係づくりで悩んだときは、かかりつけの先生や、専門家に相談するのもひとつの方法です。 その子たちに合ったやり方を、いっしょに考えてもらえます。
先住の子を、ないがしろにしない
新しい子が来ると、どうしてもそちらに手がかかります。 小さくて、世話が必要で、目が離せない。 気持ちはそちらに向きがちです。
でも、ここで大事なのが、先住の子への配慮です。 これまでどおりの愛情を、ちゃんと注いであげること。
順番として、先住の子を優先する。 先にごはんをあげる、先になでる、先に名前を呼ぶ。 そうすることで、「あなたの場所は、ちゃんとあるよ」と伝わります。
新入りに手を取られて、先住の子がさみしい思いをしている。 それが、先住の子の不調につながることもあります。 だからこそ、意識して、これまでの子との時間を守る。
新しい家族を迎えても、先住の子の大切さは変わらない。 そのことが、態度で伝わるようにしてあげたいのです。
二匹分の「ふだん」を、記録で見守る
ここまで読んで、気づいたと思います。 新入りを迎える時期は、二匹分の変化を、同時に見守ることになります。
これは、頭の中だけで覚えておくには、なかなか大変です。 どっちの子が、いつ、どんな様子だったか。 まざってしまったり、あいまいになったりしがちです。
だから、子ごとに記録しておくと、ぐっと見守りやすくなります。 先住の子は、新入りが来てから、どう変わったか。 新入りは、新しい環境に、どう慣れていっているか。 それぞれを分けて残しておくと、それぞれの「いつもと違う」に気づけます。
そして後で見返すと、関係が落ち着いていく過程も見えてきます。 「最初は食欲が落ちてた先住の子も、二週間でいつもどおりに戻ったな」 そうした流れが見えると、安心できます。
私たちが「もふ手帳」をつくったのも、そんな思いからでした。 それぞれの子ごとに、体重や食欲、気づいたことをぽちっと残しておける。 だから、どの子の「ふだん」もまざらずに覚えていてくれて、その子だけの「いつもと違う」に早く気づく手助けをしてくれます。 迎えたばかりの新入りの、最初の記録も残せます。 記録はずっと無料で、肩の力を抜いて続けられます。
今日からできる、小さな一歩
もし、これから新しい子を迎えようとしているなら。 迎える前に、今いる子の「ふだん」を、ひとつ記録しておいてください。 体重、食欲、元気の様子。 それが、迎えたあとの変化に気づくための、大切な基準になります。
すでに新入りを迎えたばかりなら。 両方の子の様子を、それぞれ見て、ひとことずつ残しておく。 二匹分の物差しを持っておくことが、両方の子を守ることにつながります。
新しい家族を迎えるのは、うれしいことです。 でも、それは、すでにいる子にとっても、新入りにとっても、大きな変化の時。 両方の子の「ふだん」を大切に見守ってあげることが、みんなが幸せに暮らす土台になります。
迎え方や、子どうしの関係で困ったときは、自己判断で抱え込まず、かかりつけの先生や専門家に相談してくださいね。
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